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第1回生命分子化学セミナー

原索動物と脊椎動物のトロポニンC(TnC)は単一系統の分子なのか?
 (遺伝子構造から見たTnC及びTnCスーパーファミリー分子種の進化

講演者

湯浅 創 博士
北海道大学大学院理学研究科
化学専攻 生命分子化学講座

日時 平成12年 4月17日
要旨 原索動物(ホヤ、ナメクジウオ)ではTnC遺伝子は単一遺伝子である。 一方、哺乳類・鳥類には速筋型、心筋型の2種のTnC遺伝子の存在が知られている。 そこで両生類(カエル)及び最も下等な魚類である円口類(ヤツメウナギ)について TnCのクローニングを行った所、共に2種のTnC遺伝子の存在が確認された。 即ち、脊椎動物の祖先種では既に遺伝子重複が完了していたと考えられる。 原索動物と脊椎動物のTnCの遺伝子構造を比較すると、第4イントロンのみ位置が異なり、 これは1つには進化過程でイントロンの移動が起こったと考える事もできる。 一方で第4イントロンの位置の相違はTnCスーパー・ファミリー分子種間で頻繁に見られ、 これは移動ではなく進化過程での独立なイントロン獲得に起因する可能性もある。 原索動物と脊椎動物のTnCは進化上連続性を持たない分子なのかもしれない (TnCには原索動物型と脊椎動物型の2系統が存在していた?)。 今回は、最近決定したナメクジウオ CaVP、 軟体動物(ホタテ)・環形動物(ゴカイ)TnC 遺伝子の構造をも紹介しながら、 TnC及びTnCスーパーファミリー分子種の進化について考察してみたい。 また、修士時代に行ったヘモグロビンの分子進化に関する研究etcについても多少紹介する予定である。
連絡先 北海道大学大学院理学研究科化学専攻生命分子化学講座
矢澤道生 (tel: 011-706-3813)