第23回生命分子化学セミナー
『ペプチド化学を基盤としたケミカル&センシングバイオロジー』
講演者 | 玉村 啓和 先生 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授 |
日時 | 平成23年 3月2日(水) 14:15 - |
場所 | 北海道大学理学部6号館 1階1-03室 ゼミ室〈1〉 |
要旨 | 酵素やレセプターとそのリガンドの相互作用を詳細に調べることは、生命現 象の理解や創薬研究において非常に重要である。我々はここ数年、G蛋白質共役型受容体 (GPCR)のひとつであるケモカイン受容体CXCR4やタンパク質リン酸化酵素protein kinase C (PKC)等を具体的なターゲットとして、そのリガンドとの相互作用を研究している。最近、CXCR4を標的とした二価結合型リガンドを創製し、その存在が示唆されているGPCR二量体の構造及び機能の解析を行った。その結果、CXCR4の二量体構造に対す るリガンド間の距離の同定および二量体状態の推定を可能にした。この二価結合型リガンドは CXCR4を過剰発現している種々のがん細胞の検出に使用できることを明らかにした。また、 PKCのリガンド結合ポケット近傍に環境応答性の蛍光基を導入することにより、リガンドとの結合を検出す る機能性分子を創製し、創薬スクリーニングツールやバイオセンサーとして応用できる可能性を示唆した。さらに、これらCXCR4やPKCを特異的に蛍光検出する新規タグープローブペアの 開発を行い、実際の細胞中でイメージングできるシステムを創出した。講演ではペプチド化学を基盤としたケミカルバイオロジーからセンシングバイ オロジーへの最近の研究を紹介したい。 |
連絡先 | 北海道大学 大学院理学研究院 化学部門 生物化学研究室 坂口 和靖 TEL: 011-706-2698 |