大学院理学研究院  化学部門  液体化学研究室 武田研究室

李 ギョレ

出身地 Korea,Seoul
出身校 Gujung High School
趣味 野球
ジョギング
一言 No pain, no gain
研究テーマ 不均一系における水の運動性の計測

 近年、生命科学の進歩は著しく進んできました。遺伝子がたんぱく質のアミノ酸配列を決め、その結果としてたんぱく質の立体構造ができあがり、そのたんぱく質が機能して生命活動が起きています。たんぱく質の機能発現のメカニズムを探る研究の主流は、たんぱく質の立体構造を決める、ということにありました。一方で、解析された構造だけでは説明できないことも多々あり、最近では、その点に着目した研究も、生命科学研究では進んでいます。
 例えば、たんぱく質を取り囲む水は、どのような性質なのでしょうか? 少なくとも、純水の水とは性質が違うことは知られていますが、その詳細は分かっていません。そこで、私は、物質が分散している水溶液中での水の挙動を計測するための研究をしています。
 実際の研究は、動的核分極法を用いたNMR縦緩和測定という分子の動きを計測する手法について、プローブの設計と合成により、より機能的な計測ができるようにしていくことを目指しています。NMR縦緩和測定による分子ダイナミクスの研究は、主に物理学者・物理化学者が行っている研究ですが、これに、有機化学の視点を組み合わせることで、計測手法の拡充を目指しています。
 また、この研究によって得られる知見は、水中で機能するソフトマターの動的性質を知ることにもつながります。私の所属する研究室(景山グループ)では、水中で自律的に動く分子ロボットを創出していますが、その仕組みの探究や、機能効率化などの側面において、私の研究と相互に関係しています。もちろん、動的核分極法という4状態間での非平衡現象(分極現象)を利用しているという点でも、科学的共通点を持っています。
 研究時間の8割程度は有機合成やそのための反応設計などに費やしています。各々10ステップを越える合成で複数のプローブ分子を合成してきました。しかしながら、満足できるプローブの開発にはまだ到達していません。数多くの研究が世の中で進んでいるなか、商品化される研究はごく僅かである、ということを考えると、何かを実現することとは、本来、これくらい難しいものだと思っています。残りの2割は、計測装置の改良や製作、またNMRの原理に係わるところの勉強に費やしています。

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