無機化学研究室 北海道大学理学部化学科 理学研究院化学部門

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小林准教授が電池技術委員会賞を受賞しました

2023年11月28日~30日に大阪府立国際会議場で開催された第64回電池討論会において、小林弘明准教授が電池技術委員会賞を受賞しました。

本賞は、電池の研究・開発に顕著な貢献を行った、または将来貢献することが期待できる研究を行った、40歳未満の若手研究者に与えられる賞です。本年度は、2022年に開催された第63回電池討論会(参加者数2256名)での485件の発表の中から、小林准教授を含め、3名が受賞しました。受賞対象となった業績は「超多孔質な極小ナノスピネルの開発とマグネシウム蓄電池正極への展開」です。

現行のリチウムイオン電池の性能を大きく超える次世代蓄電池として、マグネシウム金属負極を用いた蓄電池が注目されています。安価・安全・高エネルギー密度が期待できる一方で、このマグネシウム金属蓄電池に用いる正極材料としては、これまで適切な材料が見つかっていませんでした。正極材料開発の課題として、リチウムイオン電池と比べてマグネシウムイオンの移動が非常に遅い点が挙げられます。小林准教授はこの課題を解決するため、スピネル型正極材料の開発を行いました。研究の結果、正極/電解液界面でのイオン移動を高速化するための超多孔質化・正極内での遅いイオン移動を低減するための極小ナノ粒子化を正極材料に適用することで、高速なイオン移動を可能にし、これまで達成できなかった室温での電池動作を可能にしました。本成果は、マグネシウム蓄電池正極材料開発に飛躍的な進歩をもたらす成果として高く評価されました。

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化学科HPでの受賞案内
本受賞に関連する論文:ACS Nano, 17, 3135 (2023)