無機化学研究室 北海道大学理学部化学科 理学研究院化学部門

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RESEARCH

スタッフの研究者情報も併せてご参照ください。

プレスリリース

・蓄電池材料の低コスト・高容量・寿命の共立に成功~鉄と酸素を有効に利用しリチウムイオン電池の資源リスク回避に期待~ (2024年4月26日)
・蓄電池材料を省エネルギーで合成する手法の開発に成功〜リチウムイオン電池の製造時のコスト及びCO2排出量低減への貢献に期待~ (2023年10月25日)

新規固体イオニクス材料の探索と次世代蓄電池への応用

蓄電池は、固体内のイオン伝導によって電気が流れる、固体イオニクス材料によって成り立っています。つまり、新たな固体イオニクス材料の発見は、新たな蓄電池の提案に繋がる可能性があると言えます。我々の研究室では、キャリアイオンにナトリウムイオンやマグネシウムイオンを用いた、新たな固体イオニクス材料の探索を通じて、リチウムイオン電池に代わる革新的な次世代蓄電池の提案を目指しています。

複合金属酸化物・硫化物の相関係と低温合成プロセスの開発

多くの固体イオニクス材料は、800 °Cから1000 °C程度の高温で結晶成長します。これは、酸化物等の固相内で金属イオンが拡散するには、高いエネルギーが必要であるからです。我々は酸化物や硫化物の合成反応過程における、中間生成物の同定や結晶核生成・核成長機構の解析を行い、より低温で高いイオン伝導性を有する固体イオニクス材料を得るための、新しい合成プロセスの開発を行っています。

卑金属電析における結晶成長機構の理解とその制御

最初の蓄電池である鉛蓄電池が発明されて、150年以上の年月が過ぎましたが、過去に金属の溶解析出反応を利用する蓄電池の実用化が成功したという例はありません。これは、多くの金属が電気化学的に還元される際に、均一に析出することなく、セルの短絡を引き起こすからです。我々は金属マグネシウムが、極めて平滑な表面形態を示すという特徴に着目し、電析における金属の表面形態を決定づける因子の解明と、結晶成長プロセスの制御に挑戦しています。

Ca置換により高電位での可逆性が向上したP3型層状正極活物質

高い可逆性を示すMg3Bi2金属間化合物負極の電気化学特性と、結晶構造内でのMg2+イオン導電パスBVS法による可視化

ガーネット型リチウムイオン伝導体Li7La3Zr2O12の可逆な相転移に伴う電気伝導度の変化

上段:同じ測定条件で析出したリチウムとマグネシウムの比較 / 下段:析出初期段階のマグネシウムの均一核生成の様子