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研究内容

胃プロトンポンプ

食物消化時の我々の胃袋はpH 1もの強い酸性になります。これはタンパク質の消化や病原体の侵入に対するバリアの役目を果たします。しかし胃酸や胃粘膜分泌のバランスが崩れると、強い酸性が自分自身を傷つけてしまうことで胃潰瘍になってしまします。胃プロトンポンプは、胃の中に酸(H+)を輸送する膜タンパク質です。私たちは構造機能解析によって、胃プロトンポンプがはたらく仕組みの解明に取り組んでいます。

脂質輸送体

細胞膜はリン脂質二重層で出来ています。生きた細胞ではリン脂質の一種であるフォスファチジルセリン(PS)は、細胞内側の層に偏って分布しています。細胞がアポトーシス(細胞のプログラム死)を起こすと、PSは細胞の外側に露出します。これが「Eat me」シグナルとなって、死細胞は無用な炎症を引き起こすことなくマクロファージによって貪食されます。この仕組みは、PSを外側から内側へと輸送するフリッパーゼと、脂質を両方向に輸送するスクランブラーゼの働きによって制御されています。私たちはこれら脂質輸送体のはたらく仕組みの解明を目指しています。

ナトリウムポンプ

私たちヒトを含む動物の細胞では、細胞膜を隔てたNa+の濃度勾配が創り出されています。これは細胞に栄養等を取り込むための駆動力になったり、破裂しないように浸透圧を調節したり、神経細胞のアクションポテンシャルの源になります。これを創り出しているのがナトリウムポンプと呼ばれる膜タンパク質です。多くの生理現象に関わることから、その変異は家族性パーキンソン病や小児てんかん等、様々な病気を引き起こします。ナトリウムポンプがはたらく仕組みを理解し、これを新しい治療戦略へとつなげていきます。

タンパク質の「カタチ」を視る クライオ電子顕微鏡

可視光の波長よりもずっと小さなタンパク質は、目でみることはおろか光学顕微鏡でも見ることはできません。でも電子線を使った電子顕微鏡でなら、これを「視る」ことができます。タンパク質を「視る」ことで、そのはたらく仕組みが化学的に理解できます。タンパク質の「カタチ」が見えると、そこに結合する化合物 ― つまりクスリ ― をデザインできます。化合物デザインにAIを利用する方法論を取り入れ、創薬を見据えた研究も行っていきます。

北海道大学理学部化学科 理学研究院化学部門

分子生命化学研究室

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Molecular Biochemistry

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