表面固定化触媒の開発

私たちはこれまでになく高い性能を示す新しい触媒を開発する研究に取り組んでいます。具体的には、金属と強く結びつく性質を持つ有機リン化合物をシリカゲルの表面に固定化した新型触媒を設計しました。この触媒を用いることで、普段はほとんど反応性を持たない炭素—水素結合を化学変換し、「鈴木カップリング」の反応剤として知られる有機ホウ素化合物を一挙に合成することができます。これらの研究は製造プロセスの大幅な短縮や従来不可能だった新型分子の合成を可能にし、新材料・新薬の開発などにも貢献します。

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コンパクトなリン配位子のシリカ表面固定化

C–Cl活性化による芳香族ボロン酸の合成

コンパクトなリン配位子のシリカ表面固定化 C–Cl活性化による芳香族ボロン酸の合成

堅固な直線性を持つコンパクトなかご構造のホスフィンを直接シリカゲル表面に固定化しました。ホスフィンの配位方向が高度に規定されるため固体表面が立体障害になりません。また、それぞれのホスフィンが離れた位置で独立に金属に配位して、1:1錯体を与えます。この配位子をSilica SMAPと呼びます。

Silica-SMAPはパラジウム触媒による芳香族塩化物のホウ素化反応の優れた配位子となりました。オルト位に2つの置換基を持つ塩化物は、置換基の立体障害で大きく不活性化されていますが、穏和な条件下で反応し、芳香族ボロン酸を合成できます。

C–H 活性化による芳香族ボロン酸の合成

Rh触媒 C–H ホウ素化:窒素系配向基への拡張

C–H 活性化による芳香族ボロン酸の合成 Rh触媒 C–H ホウ素化:窒素系配向基への拡張

Silica-SMAP-イリジウム触媒存在下、安息香酸エステルとジボロンを反応させると、エステル基のオルト位C–Hが完全な位置選択性でホウ素化されます。その活性は極めて高く、触媒回転数は最高で2万回です。エステル以外にも様々な官能基がオルト配向性を示します。アミド、スルホン酸エステル、エーテル、フェノール誘導体、さらには塩素原子のオルト位をホウ素化できます。反応するC-H結合が立体的に混み合っている場合に対しても幅広い適用性を示し、他の方法では得ることが困難な多置換、多官能性の芳香族ボロン酸エステルを効率良く合成することが可能となりました。

Silica-SMAP-ロジウム触媒を用いると、窒素系官能基を配向基としてオルト位C–Hホウ素化反応が進行します。非常に幅広い窒素官能基が配向基となります。ピリジン系やそれ以外の様々な含窒素ヘテロ環の他、sp3窒素を持つ3級アミノ基や、イミン系官能基も利用可能です。また、メチレン基を挟むことで配向基が遠く離れていても効果的なC–Hホウ素化が進行します。立体障害に対する許容性にも優れています。

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