錯体化学研究室 > 最近の研究結果

最近の研究結果

不対電子とルイス酸のDative bondによる白金(II)錯体の集積化

 

2013Honda-IC

 

[Pt(II)(Bdt)(Cnbpy)]モジュールは、酸化還元特性や発光性及び自己集合特性を有する興味深い分子です。 本研究では、Pt及びBdt上の不対電子とルイス酸間の選択的なDativeBondによりこの分子モジュールを集積化する新しい方法を見出しました。 本田君、卒業前のAccept、おめでとう!

混合金属二核錯体の示すベイポクロミック・メカノクロミック挙動

 

2013Ohba-Dalton

 

窒素原子と硫黄原子の異なる配位環境を持つ架橋配位子を利用し白金とパラジウム、白金と金からなる2種類の混合金属二核錯体を合成しました。 特に白金とパラジウムからなる複核錯体では、同型構造を持つ白金二核錯体と類似したメカニズムで蒸気や機械的な圧力によるクロミック挙動を示した一方で、 その色変化は白金二核錯体と異なる領域で発現し金属イオンの違いを反映していることが明らかとなりました。

フレキシブルな動きをする三層積層型錯体

 

2012KajitaniCEJ

 

白金(II)錯体どうしや白金(II)錯体とパラジウム(II)錯体とをN^S配位子で架橋することで、同一金属、および混合金属三核錯体の合成に成功しました。この錯体は低温では金属間相互作用が発現し積層構造を取るのに対し、室温ではフレキシブルに動くというように動的挙動に温度依存性があり、それに応じて吸収スペクトルやNMRシフトが変化することを見出しました。

赤色発光性の白金(II)複核錯体の合成とゲル化

 

2012Zhang-Dalton

 

ターピリジン配位子を有する白金(II)錯体をジチオラト配位子により架橋した、赤色発光を示す複核構造を有する新規白金(II)錯体を合成しました。 ジチオラト配位子の官能基修飾によって、アセトニトリル溶液は低温で赤色のゲルへと転移することも見出しました。

光・蒸気による白金(II)チオシアン酸錯体の結合異性制御

 

2012Fukuzawa-IC

 

発光性白金(II)ビピリジン錯体に両座配位子であるチオシアン酸イオンを結合させた錯体を新たに合成しました。 興味深いことに、この錯体はさまざまな有機溶媒の蒸気に応答して、色や発光色を変化させるだけでなく、 チオシアン酸イオンの配位モードが切り替わる、すなわち分子の形状が蒸気に触れるだけで大きく変化するという非常に珍しい特性を示すことがわかりました。 さらにメタノールなどのプロトン性溶媒中では光照射によってチオシアン酸イオンの逆結合異性化も誘起されることも見出しました。

モリブデン錯体上への硬い金属・柔らかい金属の選択的な捕捉

 

2012Dalton-wakizaka

 

本研究では、非対称なO及びS配位サイトを含むレドックス活性錯体配位子を用いて、配位サイト選択的な金属イオンの補足とその結果生じた集積体における特異的な電気化学的性質(多段階レドックス、混合原子価状態)を明らかにしました。博士後期過程進学予定の脇坂君、頑張りました!

★ Dalton Trans.誌の表紙に選ばれました!

発光性白金(II)錯体結晶の次元性・クロミック応答性制御

 

 2011Hara-Yonemura-DaltonTrans

発光性白金(II)錯体とアルカリ土類金属イオンからなるイオン結晶や配位高分子を新たに合成しました。 アルカリ土類金属イオンによって白金(II)錯体分子が形成するネットワーク構造が大きく変化し、 Mg2+イオンとのイオン結晶では、熱、蒸気、機械的な応力に応答して、錯体の色と発光色が 大きく変化する「マルチクロミズム」を示すことを見出しました。

ソルバトクロミズムのON–OFFができる銅(II)錯体

 

2011Mee-ChemLett

 

平面四配位Cu(II)ヒドラゾン錯体が種々の溶媒下で、カラフルなソルバトクロミズムを示すことを見出しました。 興味深いことに、このソロバトクロミズムはヒドラゾン配位子におけるプロトン脱着によって、 ON-OFF制御可能であることがわかりました。 これはプロトン付加によって、電子遷移の性質が大きく変化したためと考えることができます。

ビスヒドラゾン鉄(II)錯体/クロラニル酸共結晶の次元性制御

 

2011Mee-IC

 

ビスヒドラゾン鉄(II)錯体と水素結合性ドナーであるクロラニル酸を共結晶化させ、 結晶化に用いる溶媒によって、水素結合ネットワークの次元性を1次元から3次元まで制御可能であることを見出しました。 また次元性の制御により、2次元の水素結合ネットワークを有する集積体が蒸気のプロトン性に応じたベイポクロミズムを発現した ことから、ベイポクロミズムを発現させる上で結晶構造の柔軟性の制御が非常に重要であることもわかりました。

白金(II)錯体配位子を用いた配位高分子の構築とベイポクロミズム

 

2011Dalton_Hara

 

新たな環境センシング材料として、発光性白金(II)錯体を錯体配位子として活用した配位高分子を合成しました。 白金(II)イオンが有する特異な金属間相互作用を活用することで、各種有機溶剤を認識可能なセンサーとして 活用できることを見出しました。特に配位高分子化にMg2+イオンやCa2+イオンを用いると 有毒なメタノールに対して選択的に応答することもわかりました。

このページの先頭へ