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最近の研究結果

乾燥過程を識別するベイポクロミック白金(II)錯体

 

 

 

ホスホン酸基を有する配位子を用いて、黄色発光を示す白金(II)錯体の5水和物結晶を合成しました。この5水和物結晶は加熱乾燥によって青緑色発光を示す黄白色固体に変化する一方で、減圧乾燥によって暗赤色発光を示す茶褐色固体に変化することから、乾燥過程によって異なる発光スペクトル変化を示すことが明らかとなりました。また、どちらの乾燥体も水蒸気曝露によって可逆的に5水和物に戻ることも見出されました。

白金(II)錯体担持メソポーラス有機シリカの発光特性と光増感

 

 2017SaitoJPPA

 

シリカ骨格に有機官能基が共有結合したメソポーラス有機シリカ(PMO)はシリカ由来の剛直さと有機基の機能性とを併せもつ興味深い多孔性材料です。このPMO上に種々の発光性白金錯体を担持したところ、その発光由来となる励起状態に応じて発光性が維持・もしくは消失することが判明しました。また、これらの担持白金錯体は細孔内で速やかな光増感電子移動を行うことも見出しました。

発光性銅(I)錯体の無溶媒加熱合成

 

 2017LiangEJIC

 

強発光材料として注目される銅(I)錯体を低環境負荷で合成する手法として、我々は以前すりつぶし合成を報告しました。しかしこの方法では融点の低い配位子を用いない場合は少量の補助溶媒を用いることが必要でした。今回、溶媒を用いない合成法として、原料をただ混合して加熱するのみで発光性の銅(I)錯体を生成させるという加熱合成の手法を確立しました。

光増感剤を酸化チタンナノ粒子に多層化したナノ光触媒の創製

 

 2017FurugoriAO

 

次世代のクリーンエネルギーとなる水素を水と光から創り出す太陽光水分解反応の高効率化を目指し、Ru(II)光増感剤を酸化チタンナノ粒子上に分子多層膜として固定化しました。驚くべきことに、同じ光増感剤濃度であるにもかかわらず、Ru(II)錯体を二層化すると光水素発生効率は3倍以上に向上したことから、増感剤分子の合理的集積化によって従来の色素増感機構を刷新可能な新しいメカニズム開発につながる結果と期待されます。

ホスホン酸エステル基が与えるイリジウム(III)錯体の光増感反応への影響

 

 2017WatanabeJPPA

 

効率的な光水素発生を行うために、光増感能剤とPtコロイドとの間の相互作用や光電子移動の制御が重要です。今回、表面固定化に多く用いられるホスホン酸基のエステルを光増感剤であるIr(III)錯体に導入したところ、無置換の錯体と比べてPtコロイド触媒の失活が抑制されました。これはホスホン酸エステルがPtコロイドに弱く配位したためだと考えられます。

クロム(III)錯体配位子を用いたレドックス活性な配位高分子

 

 2017WakizakaCEJ

 

レドックス活性な配位高分子はエレクトロニック材料やゲスト選択的な吸着材料への応用が期待されています。今回、配位子中心のレドックス能を有するCr(III)メルカプトフェノラト錯体配位子の対イオンとしてカリウムイオンを導入することでハニカム型配位高分子の合成に成功するとともに、これが固体状態においてもアニオンの吸脱着に伴うレドックス能を示すことを明らかにしました。

置換活性部位を導入した銅(I)錯体の配位子置換による発光チューニング

 

 2017HasegawaIC

 

蒸気による速やかな配位子置換と発光色変換を狙い、配位力の弱いTHF配位子を導入した発光性銅(I)錯体を合成しました。これに対してN-ヘテロ芳香族分子の蒸気を曝露したところ、THF配位子との配位子置換が進行し最大で134 nmもの発光の長波長シフトがみられました。また、この錯体は熱活性型遅延蛍光を示すことも示唆されました。

N-ヘテロ芳香族蒸気による強発光性銅(I)錯体の発光色変換

 

 2017OharaDalton

 

発光性ハロゲン化銅(I)錯体の発光色は、配位しているN-ヘテロ芳香環のLUMOに強く依存することが知られています。そこで、当研究室で見出した強発光性銅(I)錯体に対しさまざまなN-ヘテロ芳香族分子の蒸気を曝露することで、固相における配位子置換を進行させ発光色を青色から緑、黄色、赤色へと大きく変化させることに成功しました。

わずかな立体障害の差による銅(I)複核錯体の発光強度の顕著な変化

 

 2017ArataIC

 

強発光性の銅(I)錯体を開発する上で、その発光量子収率を低下させる要因の特定は重要な課題です。今回、非常に類似した構造をもつ2種類の銅(I)複核錯体についてその発光挙動を調査した結果、片方の銅(I)イオンに配位していたアセトニトリルを水へと置換するだけで劇的な発光量子収率の低下がみられ、このわずかな立体障害の差でも励起状態における構造歪みの抑制に大きな影響を及ぼしていることが判明しました。

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イオン伝導性とベイポクロミック発光性を併せもつPCPの系統的合成

 

 2017WatanabeIC

 

発光性ルテニウム(II)錯体配位子と3種類の希土類イオンからなる多孔性配位高分子(PCP)を合成しました。この多孔質構造の安定性が架橋金属イオンのイオン半径に由来するため、イオン伝導の活性化エネルギーやベイポクロミック発光の変化の領域に架橋金属イオン依存性が見出されました。また、Nd3+イオンを用いたPCPではルテニウム錯体配位子からNd3+イオンへのエネルギー移動を観測しました。

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