研究内容

不活性炭素―水素結合の直接変換と不斉制御

有機分子中の至るところにみられる炭素―水素結合を特定の場所で新たな化学結合に変換できれば、短工程で複雑な化合物を得る画期的な合成手法になります。異なる置換基をもつメチレン基(R1–CH2–R2)の炭素−水素結合の直接変換の場合、二つの炭素―水素結合のうちのどちらを変換するかによって、生成物は右手と左手のように鏡像関係にあるキラル化合物となります。私たちは、触媒と化学原料との間に働く弱い相互作用に着目して、炭素―水素結合を直接変換して一方のキラル化合物のみを得る新しい不斉合成法の開発に取り組んでいます。

有機合成触媒の配位子

光が駆動する革新的化学反応の開発

化学反応を進行させるためにはエネルギーが必要です。通常の化学反応は、外部からの熱をエネルギー源として進行しますが、私たちは「光」をエネルギー源とした全く新しい化学反応の開発に挑戦しています。光は熱と比べてけた違いに大きなエネルギーを供給できるため、これまで不可能と考えられてきた反応を実現できます。しかし、光の大きなエネルギーによって分子が活性化されると、予期せぬ副反応が進んでしまうことが課題となっていました。私たちは、光エネルギーによって生じる超高活性な化学種の振る舞いを、分子設計や金属触媒との協働作用によって制御することで革新的な化学反応を発見するべく研究に取り組んでいます。

光が駆動する化学反応

量子化学計算による不斉合成触媒の設計

分子のクリエーターたる私たちは、知識、経験、妄想を原動力としてさまざまな触媒を設計し画期的な不斉反応を開発してきました。これに加えて、近年発達著しい量子化学計算を駆使することで触媒の作動原理を解き明かし、そこから得られる知見を新たな触媒設計に活かすというサイクルで革新的な不斉合成触媒を創出しています。理論化学研究室の前田教授が開発したAFIRと呼ばれる最先端の手法も取り入れながら量子化学計算を最大限に利用することで合理的なアプローチで高性能の触媒を生み出すことができます。

量子化学計算による触媒設計

北海道大学大学院 理学研究院 化学部門

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北海道大学理学部6号館

Organometallic Chemistry Lab.

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