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研究概要
発光性金属錯体を活用した環境応答型ソフトクリスタルの開発
白金(II)錯体は非常に古くから盛んに研究されている金属錯体の一つですが、その興味深い電子状態、構造は今も多くの研究者の注目を集めています。 当研究室では白金イオン間に働く特徴的な電子的相互作用(金属間相互作用)に着目し、様々な外部刺激(圧力、温度、酸化還元、蒸気吸着)によって目まぐるしく色が変化するクロミック錯体、特に分子が秩序配列した結晶相における刺激応答機能(ソフトクリスタル)の実現に向けて、研究を展開中です。将来的には様々な刺激(例:温度や蒸気、すりつぶし等)に応答する超高感度センサーや、環境に応答して吸収波長を変化させるスマート光増感剤の開発を目指して、研究を展開しています。
新規強発光性非貴金属錯体の開発
地球温暖化や資源の枯渇が世界的な問題となっている現代社会において、 省エネルギー化や希少物質の代替は非常に重要な課題です。当研究室では、希少物質代替の観点から、優れた発光特性を有するPt, Ir, Ruなどの貴金属錯体を、 より安価かつ地球上に豊富に存在する3d金属錯体へと代替するべく、 銅(I)イオンを中心に新たな強発光性錯体の合成を行っています。 省エネルギー型発光デバイス(蛍光灯やディスプレイ材料)への応用を目指して、様々な分子修飾(有機合成)や環境負荷の小さな合成手法の開発(例:有機溶剤を全く使わない合成プロセスなど)も積極的に展開しています。
人工光合成の実現を目指した金属錯体集積体の創出
太陽光エネルギーと水から高エネルギー資源となる水素や炭化水素を創出する光エネルギー-化学エネルギー変換系の構築は、「人工光合成」とも呼ばれ、環境問題、エネルギー問題の解決に有望な手段です。この人工光合成を実現するには、太陽光エネルギーを効率よく変換する光増感剤と酸化触媒、還元触媒の高活性化のみならず、これらを合理的に集積させなければなりません。当研究室では金属錯体が有する自己集積化能を駆使して、無機ナノクラスター触媒、高分子触媒や人工酵素、透明電極や脂質二分子膜など、多様な材料系と連動させながら、人工光合成の実現を目指しています。